こんにちは。SIGQ Cloud Linkerというセキュアな書類共有サービスを開発しているアーリースタートアップ、SIGQのリードエンジニアをしているBrown[1-2]です。 SIGQではまだサービスを正式リリース前にもかかわらず、Datadogをすでに導入して、仮説検証や、プライベートベータの提供を行っています。
スタートアップにおける懐事情と監視ツール選定
DatadogはAPM(Application Performance Monitoring)や、インシデント監視など、アプリケーションの信頼性向上や、開発者体験をよくする様々な便利な機能を提供しており、多くのスタートアップやエンタープライズ企業から使われています。
これらの機能は使いこなすと非常に有用なツールである一方で、そもそもとにかく早く機能を作って早く世の中に出していくことが最優先なアーリースタートアップの開発現場においては、サービスの信頼性向上よりも、事業として一定のリスクを許容することで、エラートラッキングや外形監視などの優先度が下がっている場合が多いのではないでしょうか。
また、エンジニアの工数的な面だけではなく、アーリースタートアップでは、外部からの資金調達を行なっている場合であっても、バーンレートを下げるために、なるべく無料のツールを駆使して、創意工夫のもと開発を行なっておられるのではないでしょうか。このような場面において、なかなか外形監視ツールにお金を払うという意思決定はなかなかしにくいかなとおもいます。
SIGQで使っているDatadogの機能
Datadogはいろいろできますが、「サービス全部の機能を使って月に50ドル」のような課金体系ではなく、例えばAPMのホストあたりに38.75ドルといったように、機能毎 & 従量課金です。
SIGQでは、なるべく安く、しかしやりたいことは全部Datadogで済ませるために、以下の機能を使用しています。
RUM(Real User Monitoring)
Monitoring
Logs
Error Tracking
Synthetics Testing
なぜSIGQがサービスのパブリックリリース前からわざわざ有料の監視ツールを導入しているのか
現在のメインの目的は上記に挙げたツールを使い、以下の項目を監視することです。
エラー
重要な機能が正常に機能しているか
各種メトリクスは正常か
また、上記のような一般的な使い方に加え、プロダクトマネージャーの視点でプライベートベータの状態で体験で使っていただいている人が画面上でどのような動きをしているかをRUMで見ています。 そうです。RUMこそが今一番使いたい機能なのです。
なぜRUMなのか
Webサービスのベータ版では、免責事項で「ベータ版なので、正しく動作しないことがあります」「機能に予告なく破壊的変更を加えることがあります」といった免責事項を利用規約に盛り込むことが多いと思うのですが、それはあくまで規約上での免責事項なのであって、「じゃあ機能がちゃんと動かなくてもいいよね」というわけにはいきません。
すでに成熟したプロダクトであれば、多少のエラーがでたり、多少使いにくくても、使い慣れたユーザーがすぐにサービスから退会ということはないのではないかと思うのですが、アーリースタートアップのベータ版のサービスでは、そもそもサービス自体がその時点ではユーザーにとって必要不可欠なものではない場合が多く、エラーが多く出たり、サービスが使いにくいと、簡単にユーザーの離脱に繋がってしまうと思います。
そこで、SIGQでは実際に使ってもらっているユーザーがサービス上でどのような動きをしているのかの把握をSession Replayを使い観察し、より良いユーザー体験は何かということを考えたり、混乱してそうな場所はどこかということを把握して、すぐに改善を加えるようにしています。また、Session Replayではコンソールエラーも紐づけて見ることができるので、もしエラーが出た際には、そのユーザーから申告が入る前に再現方法を把握して直すといったことも可能です。
このようにしてみると、DatadogのRUMはエンジニアが信頼性向上などの名目で使うだけではなく、プロダクトマネージャーや経営者がユーザーと間接的に対話できるツールでもあるのです。
終わりに
SIGQではCloud Linker (https://sigq.jp/)を使っていただける方を絶賛募集中です。ついさっき、一般向けに新規登録導線をオープンしました。 早く登録いただいた方には、アーリーサインアップ特典で、何らか特典をご用意したいと思っています。(詳細未定)
References
[1] あちこちの組織に属しており、インターネット上で筆者関連情報が散見されるが、本法人とはいずれも無関係